生成AIはSDGsをどう考えるのか

SDGsを考える

最近、文章、絵、動画などのコンテンツを生成できる「generative AI」が話題になっています。特に、OpenAIが開発した「ChatGPT」は利用者数が多く、サービス開始から二か月で一億人以上のユーザーが使用したそうです。

今回はそんなChatGPTに、SDGsについて聞いてみました。

ChatGPTとSDGs

ChatGPTは人間のように振る舞い、自然な文章を生成することができます。その使い方は多種多様で、英語翻訳、文章校正、プログラミングのミスを指摘する、歌詞や感想文を作ってもらうなど、非常に便利です。

一方、誤った情報を含む文章を生成する、架空の文献を示す、インターネットにない情報 (特定の個人や団体のみで継承されてきた情報) は扱えないなどの特徴もあります。

では、ChatGPTはSDGsをどのように考えている (回答する) のでしょうか?

SDGsに関する質問

SDGsとは何ですか?

ChatGPTの出力画面

まずは最も基本的な質問をしてみました。以下、灰色の四角欄がChatGPTの回答です。

SDGsとは、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称です。2015年に国際連合で採択された、2030年までに達成すべき17の目標を示しています。これらの目標は、世界の課題を包括的に取り扱い、持続可能な社会の実現を目指すものです。具体的には、貧困や飢餓の撲滅、健康や教育の普及、エネルギーの利用といった社会的課題から、気候変動や生物多様性の保全といった環境的課題までを含みます。SDGsは、国内外の政府や企業、市民団体、国際機関など、あらゆる関係者が協力し、達成に向けて取り組むことが求められています。

なぜ2030年までに17の目標を達成しなければならないのですか?

ChatGPTは前に質問した文章の内容を踏まえて (文脈を判断して) 回答することが可能です。そこで、なぜSDGsの達成期限が2030年なのかを聞いてみました。

2030年までにSDGsの17の目標を達成することは、世界的な持続可能な開発に向けたアジェンダである「2030アジェンダ」に基づいています。このアジェンダは、2015年に国連総会で採択され、持続可能な開発に向けた新しいグローバルな枠組みを提供するものです。

2030年を目標期限とする理由は、国際社会が貧困や不平等、気候変動、環境破壊、飢餓などの問題に取り組む必要性を認識し、その解決に向けた取り組みを加速させる必要があるからです。この期限を設定することで、国際社会全体が目標に向けて取り組むことが期待されます。

また、2030年までにSDGsを達成することで、世界的な持続可能な開発に向けたアジェンダが実現され、持続可能な社会を実現するための基盤が整備されることが期待されます。

このように、一つの質問に対して、ChatGPTは複数の回答を示すことができます。

もし2030年までにSDGsを達成できたとしたら、その後はどのような社会になっていると思いますか?

次に、SDGs達成後の「2030年より先の社会」について聞いてみました。

もし2030年までにSDGsの17の目標を達成できたと仮定すると、世界はより持続可能で、包摂的な社会になっていると考えられます。以下にその一例を挙げてみます。

貧困が減少し、人々の生活水準が向上する
SDGsの1つ目標である「貧困撲滅」が達成されることで、世界中で貧困層が減少し、人々の生活水準が向上すると予想されます。これにより、より公正な社会が実現し、貧困層が持つ構造的な問題も解決されることで、経済成長や人々の健康増進など、様々な分野での発展が見込まれます。

環境保全が進み、気候変動が緩和される
SDGsの環境目標を達成することで、地球温暖化や気候変動の影響を緩和することが期待されます。例えば、CO2排出量の削減により、温室効果ガスの削減が進むことで、気候変動による影響を軽減することができます。また、SDGsの生物多様性保全目標を達成することで、野生生物や生態系の保護が進むことで、持続可能な社会の実現に向けた基盤が整備されることが期待されます。

社会の包摂性が向上する
SDGsは、貧困や不平等、ジェンダー格差、障害者差別など、あらゆる人々が直面する問題に取り組むことを目的としています。これにより、社会の包摂性が向上し、あらゆる人々が平等に機会を得られるような社会が実現されることが期待されます。また、SDGsの教育目標を達成することで、世界中の人々が高品質な教育を受けることができ、知識とスキルの普及が進むことで、より多様な社会が実現することが期待されます。

もし2030年までにSDGsを達成できなければ、どのような社会になると思いますか?

逆に、SDGsを達成することができなかった社会について聞いてみました。

もし2030年までにSDGsの17の目標を達成できない場合、世界はさらに不平等で、不安定な社会になる可能性があります。以下にその一例を挙げてみます。

貧困と不平等が拡大する
SDGsの1つ目標である「貧困撲滅」が達成できない場合、世界中で貧困層が拡大することが予想されます。また、不平等が拡大することも懸念されます。経済成長が不均衡であった場合、最も弱い立場にある人々が不適切な賃金を受け取ったり、低い福利厚生を受け取ったりする可能性が高くなるためです。

環境問題が深刻化する
SDGsの環境目標を達成できない場合、地球温暖化や気候変動、生物多様性の喪失などの環境問題が深刻化することが予想されます。これにより、自然災害が頻発したり、健康問題が増加したり、経済成長の妨げとなる可能性があります。

社会不安が高まる
SDGsは、あらゆる人々が直面する問題に取り組むことを目的としています。これに対して、SDGsの達成が遅れることによって、社会不安が高まる可能性があります。特に、貧困、ジェンダー格差、人権侵害、不平等など、重要な社会問題が解決されない場合、社会的な緊張が高まる可能性があります。

以上のように、2030年までにSDGsを達成できない場合、世界はさらに不平等で、不安定な社会になる可能性があると考えられます。それ故、SDGsの達成は非常に重要であり、国際社会が協力して取り組むことが必要です。

前の回答の「貧困」、「環境」、「社会の多様性」に関連して、SDGsが達成できない社会について、「貧困と不平等が拡大する」、「環境問題が深刻化する」、「社会不安が高まる」の3つを挙げてくれました。

私はメンタルヘルス支援の観点から、SDGsの3つ目のゴール「すべての人に健康と福祉を」に取り組んでいるため、メンタルヘルスとSDGsとの関連についても聞いてみました。

SDGsにおいてメンタルヘルス支援は重要ですか?

はい、SDGsにおいてメンタルヘルス支援は非常に重要な位置を占めています。実際、SDGsの中でも、精神保健の改善に関する目標があります。例えば、SDGsの3番目の目標「全ての年齢層に健康と福祉を」には、「メンタルヘルスや福祉を改善する」という文言が含まれています。

メンタルヘルスは、個人や社会にとって重要な要素であり、メンタルヘルスの問題は、個人や家族、地域社会、国家経済など、あらゆるレベルで影響を及ぼします。したがって、メンタルヘルスの支援は、人々がより健康で幸福な生活を送るための重要な要素であると言えます。

また、COVID-19のパンデミックが世界的に広がる中、メンタルヘルス問題がますます深刻化しているという報告があります。社会的孤立やストレス、不安、うつ病などの問題が増加しています。したがって、メンタルヘルス支援は、SDGsの達成に不可欠な要素であると考えられます。

総じて、SDGsの目標を達成するためには、メンタルヘルスの支援が必要であり、精神保健は人間の健康や幸福に欠かせない重要な側面であることを認識する必要があります。

ChatGPTが考えるSDGs達成のアイデア

ここまで、ChatGPTにSDGsに関する質問をしてきました。ここからはSDGsの達成方法について聞いてみます。

SDGsを達成するためのアイデアを教えてください

持続可能なエネルギーの導入
SDGsのうち、7番目の目標である「クリーンで安全なエネルギーの普及と利用促進」を達成するためには、持続可能なエネルギーの導入が必要です。再生可能エネルギーの普及や省エネルギー技術の開発・導入などが必要になります。

貧困削減策
SDGsの1番目の目標は「貧困を根絶する」ことです。貧困削減策としては、社会保障制度の強化、雇用創出、農業・漁業の発展などが挙げられます。

ジェンダー平等の推進
SDGsの5番目の目標である「ジェンダー平等の推進」を達成するためには、男女の機会均等や賃金格差の解消、女性の政治的参加促進などが必要です。

インフラ整備の充実
SDGsの9番目の目標は「インフラの整備と持続的かつ包摂的な産業化の促進」です。良質なインフラ整備によって、交通網の改善や水資源の確保などが実現できます。

環境保全の推進
SDGsの13番目の目標である「気候変動に対処する」ことや、14番目の目標「海洋・海岸・内水域の保全と持続可能な利用」、「陸の豊かさを守ろう」を達成するためには、CO2排出量の削減や自然環境保全に取り組むことが必要です。

これらのアイデアを実行するためには、政府、民間企業、市民団体などが協力して取り組むことが必要です。また、教育や啓発活動なども重要であり、SDGsに関する情報を広く共有することが求められます。

次に、市民がより身近に取り組める内容を聞いてみました。

市民が身近なところからSDGsに取り組む方法を教えてください

市民がSDGsに取り組むためには、以下のようなことが考えられます。

SDGsに関する情報収集
SDGsに関する情報を収集し、自分自身がSDGsについて理解を深めることが大切です。SDGsに関する情報は、インターネットや図書館、市役所やNGOなどで入手することができます。

自分の生活にSDGsを取り入れる
自分の生活にSDGsを取り入れることができます。例えば、SDGsの7番目の目標である「クリーンで安全なエネルギーの普及と利用促進」を達成するためには、自宅や職場でのエネルギー使用量を削減することができます。

市民団体やボランティア活動に参加する
SDGsに取り組むためには、市民団体やボランティア活動に参加することができます。例えば、地域の環境保全活動や貧困削減に関する取り組みに参加することができます。

政治に参加する
SDGsを達成するためには、政治に参加することも大切です。投票することや、議員に意見を伝えることができます。

SDGsに関する情報の共有
SDGsに関する情報を共有することも重要です。SNSやブログ、イベントなどを通じて、SDGsに関する情報を広く共有することができます。

これらの方法を実践することで、市民が身近なところからSDGsに取り組むことができます。また、身近な人たちにSDGsについて説明し、啓発することで、SDGsに対する理解を広げることも重要です。

よりユニークなアイデアについても聞いてみます。

SDGsを達成するためのユニークなアイデアを教えてください

以下に、SDGsを達成するためのユニークなアイデアをいくつか紹介します。

食品ロス削減のための地域通貨の導入
SDGsの12番目の目標である「つくる責任、つかう責任」を達成するために、地域通貨を導入し、地域住民が生産した農産物や加工品を交換するシステムを作ることができます。これにより、食品ロスを削減し、地域の経済活性化も同時に進めることができます。

学校のエネルギー使用量を可視化する
SDGsの7番目の目標である「クリーンで安全なエネルギーの普及と利用促進」を達成するために、学校のエネルギー使用量を可視化し、生徒や教職員がエネルギー使用量を把握することができるようにすることができます。可視化することで、節約の意識が高まり、エネルギー使用量の削減が促進されることが期待できます。

世界中の有名人にSDGsを発信してもらう
SDGsを世界的に知らしめるために、有名人にSDGsについて発信してもらうことができます。有名人の力を借りることで、SDGsに対する認知度を高め、SDGsの達成に向けた取り組みを広げることができます。

リユース可能な建材の開発
SDGsの9番目の目標である「産業、技術革新と基盤整備の促進」を達成するために、リユース可能な建材の開発を進めることができます。リユース可能な建材を開発することで、環境に優しい建築が進められ、地球環境保全に貢献することができます。

市民参加型のエシカルファッションブランドの創出
SDGsの12番目の目標である「つくる責任、つかう責任」を達成するために、市民参加型のエシカルファッションブランドを創出することができます。

さらに深堀してみます。

あなたが出したアイデアより、さらに独創的で挑戦的なアイデアを教えてください

海洋汚染の解決に向けた海洋浄化船の開発
SDGsの14番目の目標である「海洋と海洋資源の保全と持続可能な利用の促進」を達成するために、海洋浄化船の開発を進めることができます。この船は、海洋に浮遊するごみやプラスチックを収集し、リサイクルすることができるため、海洋汚染の解決に向けた重要な役割を果たすことができます。

AIを活用した森林維持管理システムの開発
SDGsの15番目の目標である「陸の豊かさを守ろう」を達成するために、AIを活用した森林維持管理システムを開発することができます。このシステムは、森林の状態を常に監視し、異常な変化があった場合には早期に対応することができます。

空中都市の建設
SDGsの11番目の目標である「住み続けられるまちづくり」を達成するために、空中都市の建設を進めることができます。空中都市は、人口密度の高い都市地域において、新たな居住空間を提供することができます。また、車両の通行がないため、交通渋滞や大気汚染の問題も解決できる可能性があります。

新たな再生可能エネルギーの開発
SDGsの7番目の目標である「クリーンで安全なエネルギーの普及と利用促進」を達成するために、新たな再生可能エネルギーの開発を進めることができます。例えば、太陽光エネルギーや風力エネルギーに加え、波力エネルギーや地熱エネルギーの開発など、新たなエネルギー源を開拓することができます。

空中都市の建設をするという、かなり挑戦的なアイデアが出てきました。海洋浄化船やAIを活用した森林維持管理システムは近い研究・実践もありますが、空中都市は未だ見通しがつかない領域です。空中都市の建設は数多くの課題があるため、現状では実現可能性は低いですが、新たな居住空間という点でユニークなアイデアだと思います。

このように、ChatGPTを使うことでSDGsの達成に向けた様々なアイデアを得ることもできます。

この記事を書いた人
執筆者

テクノロジを活用したメンタルヘルス支援研究や感性工学研究に従事。主にSDGsの達成目標3「すべての人に健康と福祉を」、達成目標4「質の高い教育をみんなに」に取り組む。

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